[Back][Top]
原発性胆汁性肝硬変
交流会報告(続) 今号に掲載しました自己免疫性肝疾患についての銭谷幹男先生による講演会の後開催されたPBC(原発生胆汁性肝硬変)・AIH(自己免疫性肝炎)グループに分かれての交流会の模様は140号で報告しましたが、今号ではそのときの質疑応答の内容を報告します。
Q PBCになって10年になります。白血球値が低く脾臓が腫れているので、脾臓を摘出したほうが良いのではないかと言われましたが…。 A 腹腔鏡での脾臓の摘出が出来るようになって簡単にはなったが、他の合併症などの細かい経過を見た上でないとはっきりとは答えにくい。脾臓をとることによるリスクもあるし、摘出したことで摘出後の結果が良くなるかどうかは一概には言えません。 Q ウルソを飲んでいます。コレステロール値が高いので下げる薬を飲まなければいけないが、肝臓が悪いので、コレステロールの薬を飲んだり飲まなかったりしていますが…。 A フィブラート系の高脂血症の薬はPBCの人に良いので、薬の種類について担当医に相談してみると良いでしょう。 Q 以前は仕事をしていました。今は何もしていないので軽いスポーツでもしようと思いますが、どれくらいまでなら大丈夫でしょうか?また、食事のとり方について気をつけることはありますか? A 過激な運動はダメだけれど、軽い運動ならむしろ良い。水中ウォーキングなど良いですね。筋肉量を減らさないように心がけること。そのためにも、肝硬変でない限りタンパク源を摂るようにする。体重を減らさなければならないが、タンパク源(特に植物性タンパク質)の多いものを摂ると良い。食事のとり方は、一度にたくさんの量をとるのではなく、1日3回の食事を4回や5回に分けてとると良い。肝臓の悪い人は、夜、タンパク源の多いものをとるようにする。例えばカロリーメイト等を夜10時頃にでも食べると良い。夜は太らないような食べ物をとるように気をつけること。 Q ウルソとベザフィブラートを併用して服用しているが、ウルソの量を増やして、ウルソだけにはできないでしょうか? A 人によっては下痢しやすい人もいるが、ウルソは1日1200mgまでは大丈夫。両方併用して飲むと、効き目が悪くなることもあるので、時間をおいて別々に飲むほうが良い。なかには一緒に飲んでも影響がない人もいる。 Q γ―GTPの値が上がるのはどうしてですか? A γ―GTPはいろいろな原因で上がる。食物でも上がるので、原因を調べなければならない。肝生検をするとすぐわかるので、まだならば肝生検をしたほうが良い。 Q ウルソ600mgの飲み方は1日でどのように飲めば良いでしょうか? A ウルソは1日量として600mg飲めば良いので、例えば朝400mg、夜200mgと分けて飲んでも良い。下痢しやすい人は飲み方を考えて飲むと良い。 Q この病気になって、どこの病院に行けば良いのかわからなくて困っています。 A 患者数が少ないということは少ない症例しかないということで、専門医がなかなかいない。でも、地域には必ず1人は専門の先生がいるので、相談してくれれば近くの専門医がどこにいるか紹介できます。 Q 自己抗体の値の高さと病気の進行性の関わりはあるのですか? A 自己抗体の値が高いといっても、病気の進行性が高いとは限らないので、肝臓の検査の数値があまり変動していなければ、他の炎症が起こっていないか調べてみる必要がある。 Q 免疫力を上げるためには、漢方薬などはどうでしょうか? A 漢方薬を飲んで悪化した例があるので、お勧めできない。体にとっては、ストレスをためないこと。自分で、好きで楽しめることをやると良い。音楽が好きなら音楽を聴くなど、良いと思う。 Q PBCはウイルス感染ではないのでしょうか? A 未知のウイルスの可能性は否定できないが、現段階ではわかっていない。 以上のような質疑応答の後は、患者同士で話を聞いたり、悩みを相談し合ったりして、時間が足りないくらいでした。 今年は猛暑の夏で、みなさんも体調を整えるのが大変だったことでしょう。本当なら、141号に載せなくてはいけない内容でしたが、事情により遅れてしまったことをお詫びします。(リーダー 山崎晴美)
スクラップ 難病の原発性胆汁性肝硬変
メカニズム解明へ前進
新たな自己抗体発見 世界初 県立福島医大内科学第二講座(佐藤由起夫教授)の大平弘正講師(41)の研究グループはこのほど、肝硬変に進む場合もある原発性胆汁性肝硬変(PBC)に関与する新たな自己抗体の存在を世界で初めて突き止めた。自己抗体「抗EPO抗体」は白血球の一種で体内の異物に対し反応する「好酸球」の働きを活性化し、肝臓の中の胆管を破壊してPBCを引き起こすと考えられている。抗EPO抗体の発見は難病のPBCのメカニズム解明に大きく道を開きそうだ。研究成果は日本内科学会で研究奨励賞を受賞した。
PBCは肝臓の中の胆管が炎症を起こし、肝臓で作られた胆汁が流れにくくなり停滞することで起こる。全身のかゆみや黄疸、肝性脳症など肝障害に基づく症状が表れる症候性PBCと、症状を欠く無症候性PBCに分類されるが、肝硬変に進行する場合もある。
![]()
初期のPBC患者において、白血球の一種である好酸球の割合が高いことは同大の研究などで分かっていた。研究グループは好酸球の中に存在する四種類の顆粒タンパク質のうち、他の細胞に対する障害作用が最も大きいEPOに着目。グループの滝口純子助手を中心に平成一三年から約二年間、PBCや慢性肝炎、気管支ぜんそく患者、健常者の血液から好酸球などの血球を取り除いた血清に、EPOを反応させる実験を繰り返した。その結果、EPOに反応する抗EPO抗体の存在が判明。また、PBC患者の抗EPO抗体の陽性率や、その反応の度合いを示す抗体価は、ほかの疾患の患者に比べて高いことが分かり、PBCとEPOの関係の深さを実証した。
抗EPO抗体は肝臓の中で好酸球を活性化させ、EPOを細胞外に放出し、胆管細胞を破壊すると考えられている。今後、抗EPO抗体と好酸球の働きを抑えることができれば、これまで対症療法が主であったPBCの治療法確立に向けてのメカニズム解明に大きく前進する。
十五年度の日本内科学会には六百四十七件の応募があった。このうち、奨励賞を受賞したのは大平講師の研究グループを含め十組。大平講師は「地道に進めてきた研究が評価されたと思う。今後、さらに研究を進め、PBCで苦しむ方々を一日でも早く救いたい」と話している。
県内では三月末で二百四十五人が難病指定に基づく公費負担を受けており、全国の患者は約二万人と推計されている。十四年末までに国内の十八歳以上に対する千三十七件の生体肝移植のうち、PBC患者への移植は二百十件で最も多い。